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zoom RSS 落語の中の言葉26「四神剣」

<<   作成日時 : 2009/04/27 16:25   >>

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           十代目柳家小三治の「百川」より

 日本橋は浮世小路に「百川〔ももかわ〕」という会席料理の店が明治の初めまであったそうである。浮世小路の場所は、安政六年(一八五九)再板の尾張屋板切り絵図では、今でいうと日本橋三越から中央通りを少し神田の方に行ったところを昭和通りの方に入るあたりであろうか。浮世小路という名は、元来浮世寝茣蓙、畳表等を売る店が多かったところから来たものという。その店で本当に起こったことをネタにした噺が「百川」であるという。
 百川は、安政六年(一八五九)の即席会席御料理の番付にも行司の一軒として太字で載っている有名店であった。ペリーが日本へ来て条約を結んだとき、幕府は黒船の乗組員を江戸城に招待して二の膳つきで御馳走をした。その際、その仕出しを一手に引き受けたのがこの百川であると、六代目三遊亭円生は『江戸散歩』の中に書いている。
 田舎から出てきて百川に奉公した百兵衛の言葉は訛りが強く、客である河岸〔かし〕の若い者が「主人家の抱え人」を「四神剣〔しじんけん〕の掛け合い人」と聞き違えることが発端となる。
 ここで四神剣というのは正しくは「四神旗」のことで、江戸の祭りには必ずといってよいほど使われたという。皇室の元旦朝賀や即位式などで使われたそうであるが、東京の祭りでは今は見かけない。これは東南西北の神を描いた旗(東は青竜、南は朱雀、西は白虎、北は玄武)で、先端に剣がついているところから四神剣とも呼ばれた。玄武というのは亀に蛇が巻き付いた姿で表される。むかし、高松塚古墳の石室から大陸風の衣装をつけた婦人の彩色画が発見された時、北の壁面にこの玄武が描かれていたのを記憶されている方もあろう。

『和漢三才図会』には
画像「文武天皇は大宝元年(七〇一)正月朔日、大極殿に御して朝を受けたもうたが、その時、正門には烏形の幡を樹(た)て、左には日の像、青竜、朱雀の幡を、右には月の像、玄武、白虎の幡を樹て、蕃夷の使者が左右に並び居流れていた。」
とあり、左の図が載せてある。文は続日本紀からとったものである。

また『故事類苑』帝王部八 即位下・調度 には四神旗について次のようにある。
「青龍朱雀ハ、日像ノ幢ノ東ニ並ビ立チ、白虎玄武ハ、月像ノ幢ノ西ニ並ビ立テリ、白キ絹ノ繧繝端取タルニ、其中ニ四神像ヲ畫ケリ、幟ハ各四筋也、白キ絹ニ赤キ端ヲ取タリ、上ニ片刃ノ戟ヲ加へタリ、」

 現在販売されている四神旗もこの形態の物が多いようである。ただ千葉県の香取神宮の御田植祭で使われているのは大分違い写真のような形である。
画像

 四神は古代中国において北極星のまわりにある星座から考えられたものだそうで、東南西北の神であると同時に春夏秋冬にも配当された。(あえて東南西北といってきたのは春夏秋冬に対応させるためであり、言い慣れているからではありません。念のため。)そこで春は「青竜の春」という呼び方もされ、そこから「青春」という言葉が生まれた。同様に「朱雀の夏」から朱夏が、「白虎の秋」から白秋が、「玄武の冬」から玄冬という言葉がそれぞれ生まれた。いまでは青春以外あまり一般には使われていない。

 また、君主は南に面して座を占めるのが普通であった(君主南面)。相撲は神への奉納として行われたし、また能は足利将軍の前で演じることで発展してきた。神や将軍が南面する以上、演じる方は必然的に南から北面することになる。北面といえば、落語「西行」は出家する前の北面の武士としての佐藤義清〔のりきよ〕の話である。彼は鳥羽院に仕えていた。院を警護する武官を北面という。ちなみに天皇を警護するものは滝口といい、東宮(春宮、皇太子)に仕える武官を帯刀〔たちはき〕という。

 南面王に北面するのであるから、左右の方向は東西になる。「東西東西」であり、東西対決である。東の青竜と西の白虎の対決から「竜虎相搏つ」という表現も生まれた。相撲の土俵には、昔は四本柱があったが、今はなく、屋根さえ上から吊り下げている。それでも四神を表す四色すなわち青・白・赤・黒の房だけは今も残っている。

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