落語の中の言葉210「持参金・下ー武家方」

 前回は町方の持参金を取り上げたので、今回は武家方である。 武家の場合も持参金の扱いは町方と同様である。 元禄十五午年1702閏八月   覚 一奉公人給金、巳年以前之出入も、請人只今迄之通可申付事、 一請人弁済之上、下請人えかゝり候儀、弁済之分量程ハ下請人え可申付事、 一大屋立替候金子、店請人え可申付候事、 一什物金銀…
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落語の中の言葉209「持参金・上ー町方」

   三代目 桂 米朝「持参金」より  咄の中で持参金の額を20円と云っているので、明治以降が舞台である。これにちなみ江戸時代の持参金について取り上げてみたい。持参金と嫁入り道具についてはすでに07「離縁状」でも触れているので重複する部分もある。75「借金を質に置く」で述べたように金銭トラブルによる訴えが多数にのぼり、そのため天和…
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落語の中の言葉208「布団」

 落語には時々布団が出て来る。「お亀団子」では病気で寝ている母親に柔らかい布団を買いたいと盗みに入る。「味噌蔵」ではしわいやの主人がせんべい布団に寝ている。浮世床では夢に絹布の三枚重が出て来る。  江戸で布団と言えば敷布団のこと。上に掛けるのは夜着(よぎ)であって掛布団は使われていなかったという。 林 美一氏は『時代風俗考証事典…
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落語の中の言葉207「太神宮さま・下ー御祓大麻」

 今回は伊勢の御祓大麻についてである。  『聞上手』の挿絵にある御師の供がもっている箱に書かれた文字は少し読みにくい。山東京伝の『新造図彙』にある図を揚げる。  この箱が「お祓い箱」で中に一万度の祓いをしたものが入っているのであろう。 一万度について喜多村筠庭『嬉遊笑覧』巻之七(文政十三年1830)には 「伊勢の御師が人…
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落語の中の言葉206「太神宮さま・中ー御師」

 今回は伊勢の御師についてである。  太神宮さまの御札は伊勢の御師が配っていた。伊勢の御師は御祓大麻の他に伊勢暦その外の土産を添えて配り、初穂を受けた。  伊勢の御師が門口から、「御機嫌よふござりますか。例年のとをり、御祓(おはらい)を進ぜまする」と台にのせて出せば、「是は忝イが、しかし今年から、ちっと存寄もござれば、御土産も熨…
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落語の中の言葉205「太神宮さま・上ー内宮」

      九代目三笑亭可楽「富久」より  酒のためにお客をすっかりしくじって裏長屋にくすぶっている太鼓持ちの久蔵は、知り合いから一枚残った富くじを買う。千両富が当たるようにと神棚の太神宮さまに祈って、富札をお宮の中に入れておく。  咄のなかでは「太神宮さま」のほかに「天照皇大神宮さま」という言葉も使っているので、祀っている…
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落語の中の言葉204「また流されそうなわい」

     三代目 桂米朝「質屋蔵」より  三番蔵に化け物が出るという噂を聞いた質屋の檀那、番頭に真偽を確かめるよう言いつける。番頭は一人では恐ろしいからと手伝いの熊さんと二人で様子を窺う。蔵の中で光とともに大きな音がすると二人とも腰を抜かしてしまう。そんなことではないかとやって来た檀那が蔵の中をのぞくと、小柳の帯と竜文の羽織が相撲…
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落語の中の言葉203「血脈の御印」

「善光寺」に続き、十代目 桂 文治「お血脈」より  今回のテーマは「血脈の御印」である。そもそも「血脈の御印」という言葉はよくわからない。血脈と印文とは別物だと思うからである。 血脈を辞書で引くと 〔仏〕 ①師から弟子に法灯がうけつがれていくこと ②師から弟子に与える相承の系図 ③在家結縁の者に与える法門相承の略譜 と…
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気になる言葉08「処暑」

 今年の処暑は八月二十三日でした。その前日テレビの気象情報で、明日は二十四節気の一つの「処暑」で、暑さのおさまる頃という意味ですと耳にしました。いつも「そうかなあ」と思うのです。暑さがおさまる頃とは実感出来ないからです。勿論「処暑」という言葉は中国の黄河中流域で作られたものだそうで、日本はその言葉をそのまま使っているだけです。雪が降り始…
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落語の中の言葉202「信濃の善光寺」

        十代目桂文治「お血脈」より  この咄は「信濃の善光寺」と「血脈の御印」が中心である。今回はこのうち「信濃の善光寺」を採り上げる。  仏教伝来から善光寺建立までのことは、ほぼ善光寺縁起に沿っているが少し違うところもある。善光寺縁起のうち日本でのことを大まかに云うと、   ○百済の聖明王から閻浮壇金の仏像(一光三尊…
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落語の中の言葉201「姿海老屋」

 前回新吉原を話題にしたので、ついでに今回も吉原を採り上げる。  落語には時々、実在した遊女屋の名前が出て来る。例えば   三浦屋   紺屋髙尾   佐野槌   文七元結   熊蔵丸屋  鰍沢   半蔵松葉  柳田格之進   姿えび屋  幾代餅、お若伊之助 以下、これらの見世を簡単に紹介する。 ○三浦屋は二軒以上あり…
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お江戸吉原ものしり帖正誤

 洒落本『傾城買四十八手』の中に、つき出し間のなき昼三が「ふとんのすみへつけしくゝりざるを、ひねくつてゐる」とあり、これについて中野三敏氏は「括り猿。布に綿を入れ、小さく猿の形に縫ったもの。蒲団の隅へくくりつけて、去る客をくくりとめる呪いにする。」と註している。この呪いは初耳で他に例があるのか気に掛けていたが、出会わない。それで『お江戸…
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落語の中の言葉200「羽織」

     古今亭志ん朝「羽織の遊び」より  金はないが遊びには行きたいと、キザで鼻持ちならない伊勢屋の若旦那をとりまいて、何とかご同伴ということになった。しかし、朋友として行くのだから帯に羽織は必要だと言われて皆都合するが、八つアんだけがない。羽織のない人は今度と言われ、すぐに算段するからと待ってもらって、親分のところへ借りに行く…
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落語の中の言葉199「けころ」

     古今亭志ん生「お直し」より  咄のなかで吉原の河岸にある切見世の遊女を「けころ」と呼んでいるが、江戸時代の「けころ」は全く別のものを指す名である。 けころ、寛政の頃まで、上野山下など大通りをはじめ、横町々々門並に有、一軒に両人づゝ見世を張、前だれ姿にて、大かたは眉毛有、年増もあり。いづれも美婦計りなり。白昼に見世を張、…
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落語の中の言葉198「士農工商」

       三代目三遊亭金馬「たが屋」より  咄の中で江戸時代には士・農・工・商という四つの身分があったと云っている。「士農工商」という言葉は学校でも習い、よく知られている。  封建社会の身分制度という場合、生まれた身分から他の身分に移ることが出来ず、また代々続いていくものである。その意味で言えば武士は確かに身分であるが、農・…
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落語の中の言葉197「大名屋敷」

       古今亭志ん生「妾馬」より  大名のお目にとまって奉公に上がった妹のお鶴がお世取りをもうけたため、屋敷へ呼ばれた八五郎が出世をする咄。その中に屋敷の門番や御広敷の役人とのやりとりの箇所がある。大名屋敷については、「太郎稲荷(続き)」や「お窓下」でも触れているが、今回は門と御広敷を採り上げる。  大名屋敷の門は石高や家…
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落語の中の言葉196「天下の往来」

     三代目三遊亭金馬「たが屋」より 咄の中に「天下の往来、七分は士が通り、残りの三分を農工商が通る。その頃は咄家の通る所はなかった……」とあるが、江戸の往来は士農工商、馬・荷車も入り交じって通っている。     『江戸名所図屏風』日本橋の部分、明暦大火前     『熈代勝覧』十軒店辺の部分、文化二年1805頃     …
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落語の中の言葉195「駕籠屋・下」

 辻駕籠の実態についてその全体像を描くほどの知識が無いため、断片的にいくつか採り上げてみたい。 *辻駕籠の駕籠舁には元手も技術をあまり必要なかった。  船頭は「竿は三年、櫓は三月」と落語にもあるように、舟を自由に操るには技術が必要であるが、駕籠舁は体力さえあればできた。     『江戸職人歌合』下 文化五年1808序 また辻…
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落語の中の言葉194「駕籠屋・上」

 駕籠と乗物そのものについては既に採り上げた。今回は駕籠屋である。駕籠屋には三つある。 ①乗物駕籠を製造販売する店。②宿(やど)駕籠 駕籠や乗物を保有し、駕籠舁を抱えて貸駕籠営業をする店。③辻駕籠の駕籠舁。  ここに採り上げるのは③辻駕籠の駕籠舁である。  先ずは辻駕籠の制度面から見ることにする。その変遷の概略は以下のようにな…
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落語の中の言葉193「旦那」

     六代目三遊亭円生「百年目」より  咄の中に、「旦那」という言葉の訳について人から聞いた話として、センダンとナンエンソウのことが出て来る。センダンのダンとナンエンソウのナンからダンナン、ダンナになった、持ちつ持たれつの関係だという。上方落語(桂米朝・桂文枝師匠)では御法談で聞いたこととしてシャクセンダンとナンエンソウとして…
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