落語の中の言葉220「出雲で縁結び」

 「夫婦の縁」に関わる落語では、マクラで、出雲で縁結びをするという咄が使われる。    陰暦十月に全国の神様が出雲に集まって、縁結びをする。それで    この月を神無月といい、出雲では神有(在)月という。 この俗説は現在広く知られているが、いつ頃から広まったのであろうか。はじめは、明治になって鉄道ができ、遠くからでも参拝者を呼べ…
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落語の中の言葉219「名字」

     五代目 柳家小さん「天災」より  咄の枕に自分の正式な名前もよく分からない大工が出て来る。明治になるまで町人は名字を持てなかったことが前提になっている。  そもそも名字とは何かということはさておいて、江戸時代には農工商で名字を持てたのは特に許された者だけと思っていた。 享和元酉年1801七月  大目付え 百姓…
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落語の中の言葉218「小咄・下」

 小咄本は大田南畝も何冊か出している。落語に使われてる咄もいくつか含まれているので紹介しよう。ただし、南畝のオリジナルという訳ではない。 小咄本の場合は全般にわたって既成の咄の改作・翻案が多いのは常識であり、南畝小咄の場合も多分にその種のものは多い。無論改作に当って、その作者の手腕が発揮される所でもあろうが、オリジナリティを殆んど問題…
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落語の中の言葉217「小咄・上」

 志ん生師匠は、「向こうの空地に囲いができた、ヘーイ(塀)」などをあげ、小咄から段々長くなって一席の落語になったと咄ている。落語の成立について、二代目船遊亭扇橋は『落語家奇奴部類』(弘化五年1848)に次のように書いている。 夫滑稽落語之始まりをたづぬるに、遠くに、慶長の昔、豊臣殿下之御側に仕まつりし、曾呂利新左衛門なるもの、御伽怪の…
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落語の中の言葉216「鏡(ガラス鏡)」

     「崇徳院」より  双方が恋煩いになり、相手を探すように頼まれた者同士が床屋で出会い、互いに自分の御店へ連れて行こうと揉み合う。オチの多くは、鏡を割ってしまい、床屋の親方にどうするんだと云われ、「割れても末に買わんとぞ思う」である。  いつから床屋にガラス製の大きな鏡が置かれるようになったのかは分からないが、江戸時代の髪…
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「江戸の卵は1個400円!」正誤

 私の主な関心は熊さんや八つアんの暮らしです。それを知るのには物の値段も欠かせませんが資料があまりありません。小野武雄編『江戸物価事典』・小楊津信郎著『改訂版 近世賃金物価史史料』もありますが、集録された項目は限られています。『江戸の卵は1個400円!』(丸田勲著、光文社新書2011)のタイトルに惹かれて一読しました。モノの値段から江戸…
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落語の中の言葉215「水屋」

     古今亭志ん生「水屋の富」より  落語に水屋が出て来るのは珍しい。この咄ぐらいであろうか。「子別れ」の下にもちょっとだけ「水屋」という言葉は使われている。熊さんがお店の番頭さんに頼まれて一緒に木場へ材木を見に行く時、相長屋の人に水屋が来たら一荷汲み入るように頼んでいる。  江戸時代の水屋には二種類ある。ひとつはこの咄にあ…
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落語の中の言葉214「薬喰」

     三代目 桂 米朝「池田の猪買い」より  体が冷えて困っていると話すと、シシの肉を食べることを勧められ、新しい肉でなければ効き目がないというので池田までイノシシの肉を買いに行く咄である。シシの肉などを食べることは「薬喰(くすりぐい)」と呼ばれた。明治になるまで獣肉を食べることはタブーとされていたようである。獣肉の禁忌は江戸…
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落語の中の言葉213「隠居」

     柳家小三治「道灌」より  落語には「横町の隠居」がよく登場する。なぜ「横町」なのかについてはすでに採り上げているので今回は「隠居」である。  八五郎たち若い者の間で隠居の事を、仕事もしていないのにうまいものを食って、いい着物を着ているが、泥棒ではないかと噂しているということを聞いて、隠居は、若い頃は真っ黒になって働いて…
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落語の中の言葉212「すし」

 江戸の「すし」について『守貞謾稿』(後集巻之一)には次のように書かれている。 鮓 すしと訓ず。愚按ずるに、鮓は近来の俗字なり。  すしのこと、生業の条に詳らかに云へるごとく、三都とも押鮓なりしが、江戸はいつ比よりか押したる筥(はこ)鮓廃し、握り鮓のみとなる。筥鮓の廃せしは五、六十年以来やうやくに廃すとなり。(中略)  江戸、今製…
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落語の中の言葉211「地獄極楽」

 落語では地獄極楽について、「子別れ」序では、地獄極楽は、いったいどこにあるのかと云い、「お血脈」では、善光寺で血脈の御印を受け極楽へ行く者ばかり、地獄へ来る亡者がいなくなったと云う。「地獄八景亡者の戯れ」は閻魔庁への道中と閻魔庁での取り調べとその後の咄である。人は死ぬと罪の有無によって地獄か極楽へ送られると思われていたらしい。しかし梅…
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気になる言葉09「異常気象」

 よく「異常気象」という言葉を耳にする。ここ百年間にない大雨・大風・高温・低温などがあると「異常気象」と云われる。人間の行動の場合には百年に一度といえば非常に珍しく「異常」といってもよいであろう。しかし自然現象についてはどうであろうか。  たとえば、地球は生まれて46億年という。46歳のヒトに比べると一億倍である。地球にとっての百…
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落語の中の言葉210「持参金・下ー武家方」

 前回は町方の持参金を取り上げたので、今回は武家方である。 武家の場合も持参金の扱いは町方と同様である。 元禄十五午年1702閏八月   覚 一奉公人給金、巳年以前之出入も、請人只今迄之通可申付事、 一請人弁済之上、下請人えかゝり候儀、弁済之分量程ハ下請人え可申付事、 一大屋立替候金子、店請人え可申付候事、 一什物金銀…
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落語の中の言葉209「持参金・上ー町方」

   三代目 桂 米朝「持参金」より  咄の中で持参金の額を20円と云っているので、明治以降が舞台である。これにちなみ江戸時代の持参金について取り上げてみたい。持参金と嫁入り道具についてはすでに07「離縁状」でも触れているので重複する部分もある。75「借金を質に置く」で述べたように金銭トラブルによる訴えが多数にのぼり、そのため天和…
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落語の中の言葉208「布団」

 落語には時々布団が出て来る。「お亀団子」では病気で寝ている母親に柔らかい布団を買いたいと盗みに入る。「味噌蔵」ではしわいやの主人がせんべい布団に寝ている。浮世床では夢に絹布の三枚重が出て来る。  江戸で布団と言えば敷布団のこと。上に掛けるのは夜着(よぎ)であって掛布団は使われていなかったという。 林 美一氏は『時代風俗考証事典…
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落語の中の言葉207「太神宮さま・下ー御祓大麻」

 今回は伊勢の御祓大麻についてである。  『聞上手』の挿絵にある御師の供がもっている箱に書かれた文字は少し読みにくい。山東京伝の『新造図彙』にある図を揚げる。  この箱が「お祓い箱」で中に一万度の祓いをしたものが入っているのであろう。 一万度について喜多村筠庭『嬉遊笑覧』巻之七(文政十三年1830)には 「伊勢の御師が人…
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落語の中の言葉206「太神宮さま・中ー御師」

 今回は伊勢の御師についてである。  太神宮さまの御札は伊勢の御師が配っていた。伊勢の御師は御祓大麻の他に伊勢暦その外の土産を添えて配り、初穂を受けた。  伊勢の御師が門口から、「御機嫌よふござりますか。例年のとをり、御祓(おはらい)を進ぜまする」と台にのせて出せば、「是は忝イが、しかし今年から、ちっと存寄もござれば、御土産も熨…
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落語の中の言葉205「太神宮さま・上ー内宮」

      九代目三笑亭可楽「富久」より  酒のためにお客をすっかりしくじって裏長屋にくすぶっている太鼓持ちの久蔵は、知り合いから一枚残った富くじを買う。千両富が当たるようにと神棚の太神宮さまに祈って、富札をお宮の中に入れておく。  咄のなかでは「太神宮さま」のほかに「天照皇大神宮さま」という言葉も使っているので、祀っている…
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落語の中の言葉204「また流されそうなわい」

     三代目 桂米朝「質屋蔵」より  三番蔵に化け物が出るという噂を聞いた質屋の檀那、番頭に真偽を確かめるよう言いつける。番頭は一人では恐ろしいからと手伝いの熊さんと二人で様子を窺う。蔵の中で光とともに大きな音がすると二人とも腰を抜かしてしまう。そんなことではないかとやって来た檀那が蔵の中をのぞくと、小柳の帯と竜文の羽織が相撲…
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落語の中の言葉203「血脈の御印」

「善光寺」に続き、十代目 桂 文治「お血脈」より  今回のテーマは「血脈の御印」である。そもそも「血脈の御印」という言葉はよくわからない。血脈と印文とは別物だと思うからである。 血脈を辞書で引くと 〔仏〕 ①師から弟子に法灯がうけつがれていくこと ②師から弟子に与える相承の系図 ③在家結縁の者に与える法門相承の略譜 と…
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