落語の中の言葉201「姿海老屋」

 前回新吉原を話題にしたので、ついでに今回も吉原を採り上げる。  落語には時々、実在した遊女屋の名前が出て来る。例えば   三浦屋   紺屋髙尾   佐野槌   文七元結   熊蔵丸屋  鰍沢   半蔵松葉  柳田格之進   姿えび屋  幾代餅、お若伊之助 以下、これらの見世を簡単に紹介する。 ○三浦屋は二軒以上あり…
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お江戸吉原ものしり帖正誤

 洒落本『傾城買四十八手』の中に、つき出し間のなき昼三が「ふとんのすみへつけしくゝりざるを、ひねくつてゐる」とあり、これについて中野三敏氏は「括り猿。布に綿を入れ、小さく猿の形に縫ったもの。蒲団の隅へくくりつけて、去る客をくくりとめる呪いにする。」と註している。この呪いは初耳で他に例があるのか気に掛けていたが、出会わない。それで『お江戸…
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落語の中の言葉200「羽織」

     古今亭志ん朝「羽織の遊び」より  金はないが遊びには行きたいと、キザで鼻持ちならない伊勢屋の若旦那をとりまいて、何とかご同伴ということになった。しかし、朋友として行くのだから帯に羽織は必要だと言われて皆都合するが、八つアんだけがない。羽織のない人は今度と言われ、すぐに算段するからと待ってもらって、親分のところへ借りに行く…
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落語の中の言葉199「けころ」

     古今亭志ん生「お直し」より  咄のなかで吉原の河岸にある切見世の遊女を「けころ」と呼んでいるが、江戸時代の「けころ」は全く別のものを指す名である。 けころ、寛政の頃まで、上野山下など大通りをはじめ、横町々々門並に有、一軒に両人づゝ見世を張、前だれ姿にて、大かたは眉毛有、年増もあり。いづれも美婦計りなり。白昼に見世を張、…
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落語の中の言葉198「士農工商」

       三代目三遊亭金馬「たが屋」より  咄の中で江戸時代には士・農・工・商という四つの身分があったと云っている。「士農工商」という言葉は学校でも習い、よく知られている。  封建社会の身分制度という場合、生まれた身分から他の身分に移ることが出来ず、また代々続いていくものである。その意味で言えば武士は確かに身分であるが、農・…
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落語の中の言葉197「大名屋敷」

       古今亭志ん生「妾馬」より  大名のお目にとまって奉公に上がった妹のお鶴がお世取りをもうけたため、屋敷へ呼ばれた八五郎が出世をする咄。その中に屋敷の門番や御広敷の役人とのやりとりの箇所がある。大名屋敷については、「太郎稲荷(続き)」や「お窓下」でも触れているが、今回は門と御広敷を採り上げる。  大名屋敷の門は石高や家…
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落語の中の言葉196「天下の往来」

     三代目三遊亭金馬「たが屋」より 咄の中に「天下の往来、七分は士が通り、残りの三分を農工商が通る。その頃は咄家の通る所はなかった……」とあるが、江戸の往来は士農工商、馬・荷車も入り交じって通っている。     『江戸名所図屏風』日本橋の部分、明暦大火前     『熈代勝覧』十軒店辺の部分、文化二年1805頃     …
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落語の中の言葉195「駕籠屋・下」

 辻駕籠の実態についてその全体像を描くほどの知識が無いため、断片的にいくつか採り上げてみたい。 *辻駕籠の駕籠舁には元手も技術をあまり必要なかった。  船頭は「竿は三年、櫓は三月」と落語にもあるように、舟を自由に操るには技術が必要であるが、駕籠舁は体力さえあればできた。     『江戸職人歌合』下 文化五年1808序 また辻…
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落語の中の言葉194「駕籠屋・上」

 駕籠と乗物そのものについては既に採り上げた。今回は駕籠屋である。駕籠屋には三つある。 ①乗物駕籠を製造販売する店。②宿(やど)駕籠 駕籠や乗物を保有し、駕籠舁を抱えて貸駕籠営業をする店。③辻駕籠の駕籠舁。  ここに採り上げるのは③辻駕籠の駕籠舁である。  先ずは辻駕籠の制度面から見ることにする。その変遷の概略は以下のようにな…
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落語の中の言葉193「旦那」

     六代目三遊亭円生「百年目」より  咄の中に、「旦那」という言葉の訳について人から聞いた話として、センダンとナンエンソウのことが出て来る。センダンのダンとナンエンソウのナンからダンナン、ダンナになった、持ちつ持たれつの関係だという。上方落語(桂米朝・桂文枝師匠)では御法談で聞いたこととしてシャクセンダンとナンエンソウとして…
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落語の中の言葉192「麻呂と朕」

       「茶金」より  咄の中で近衛殿下は自分のことを「麻呂」と呼び、天皇は「朕」と自称している。 一、まろ  「麻呂」についてはいろいろな考えがある。 人の名に、丸といふ字をつくる事、まるは不浄を入るゝ器なり。不浄は鬼魔のたぐひも嫌ふものなり。されば鬼魔の類ちかづかざる心を祝して、名の下につく心なり。古今集の作者…
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落語の中の言葉191「敵討」

       「宿屋の仇討」より  落語には時々「敵討」が出てくる。いずれも嘘の敵討である。「花見の仇討」と「高田の馬場」は親の敵討、そして「宿屋の仇討」は妻と弟の仇討である。「敵討」と「仇討」、同様の意味で使われているが、区別もされていたようである。 信濃国飯山藩(本多豊後守家)が天明八年1788に幕府へ出した質問状を、氏家幹…
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気になる言葉07「風呂吹き」

 料理に風呂吹き大根というものがある。国語辞典によれば風呂吹きとは「大根・蕪(かぶ)などを柔らかくゆで、その熱い間に練り味噌を塗って食べる料理。」(『広辞苑』)とある。  この料理名は、別の「風呂吹き」から来たもののようである。 〔甲陽軍艦〕〔割注〕巻之九下。」天文十四年1586の条に云、「風呂はいづれの国にも候へども、伊勢風呂と申…
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落語の中の言葉190「フグ」

       十代目柳家小三治「らくだ」より  らくだとあだ名される無法者がフグに当たって死ぬ。訪ねてきた兄貴分が発見し、弔いの真似事でもしたいと思うが銭がない。通りかかった屑屋に家財道具を売り払おうとするが買える物はないと断られる。屑屋を脅して使いにたて、相長屋の者からは香奠を出させ、大屋からは死体にカンカンノウを踊らせて酒・肴…
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落語の中の言葉189「てんぷら・下」

 次に江戸のてんぷらそのものについて考えてみたい。  京山の話では、天明初年の頃の江戸には胡麻揚げの辻売りはあったが、魚肉を使ったものはなかったという。当時の胡麻揚げ・てんぷらとはどんな料理だったのであろうか。  小説等から拾うと されば二間茶屋も是が為に劣(おくれ)を取り、両国さびれて中洲へ引ケ、商人居並て通りせまく煮売煮肴…
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落語の中の言葉188「てんぷら・上」

      古今亭志ん朝「宿屋の富」より  神様が夢枕にたったという若い男は、二番富の五百両が当たったら吉原の馴染みの遊女(おんな)を身請けして所帯を持つ、景気がいいからお膳の上もお銚子が一本に刺身があって、天麩羅があって、鰻があって、お椀があってと話をする。  江戸時代のてんぷらについてよく云われることは、家康が鯛のてんぷ…
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落語の中の言葉187「酒」

 落語には酒がよく出て来るが、どんな酒であったのかがわかるものは少ない。   澄んだのか濁ったのか (三代目三遊亭金馬「居酒屋」)   甘口、辛口、酸ぱ口  (三代目三遊亭金馬「居酒屋」)   番茶を薄めて酒代わり (五代目柳家小さん「長屋の花見」、               三代目三遊亭金馬「節分」) 江戸で飲まれた酒…
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落語の中の言葉186「易者」

     六代目 三遊亭圓生「ちきり伊勢屋」より  この咄のあらすじはとても長くなるので省略して、今回採り上げるのは易者(占者うらないしゃ)である。  咄には占いの名人として白井左近が出て来る。麹町に家を構えて易者をしていたというので、これは「正規」の易者であろう。一方「井戸の茶碗」の千代田卜斎は、昼は子供を集め素読の指南、…
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落語の中の言葉185「広小路」

     八代目 三笑亭可楽「二番煎じ」より  江戸の名物を詠んだ歌は咄家によって少し違う。八代目可楽師匠は、「武士・鰹・大名小路・広小路・茶見世・紫・火消・錦絵」と話している。広小路は火除地や火除堤等とともに明暦の大火後に設けられた。比留間尚氏は「広小路」(西山松之助編『江戸ことば百話』1989)の中で火除地として、一橋門外・筋…
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落語の中の言葉184「馬子にも衣装、髪かたち」

     三代目三遊亭金馬「浮世床」より  咄の中で「馬子にも衣装、髪かたち」といい、江戸時代には頭を見ると、侍、職人、商人が分かったと話している。  江戸時代の男の髪型も時代により大きく変化している。まずは幕末の様子を『守貞謾稿』から見てみよう。 今世男子髪、おほむねかくのごときなり。けだし月代を多く剃りて髪を少なく…
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